カプコンの対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV』(ストファイⅤ・2016年2月発売)について、入力遅延が話題になっている。かつて『ストファイⅣ』のPS3版とXbox 360版での2フレームの違いが話題になったが、eスポーツを手がけるRedbull.comが記事でとりあげているように、現在は『ストファイⅤ』と他のゲームとの差という問題になっている。
格闘ゲームにさわらない人たちにとっては馴染みの無い言葉「入力遅延」。海外ではinput latency(インプット レイテンシー)やinput lag(インプット ラグ)と呼ばれ、格闘ゲーマーの間では常識の言葉だ。これは、ボタンを押してからキャラが反応するまでの時間を指し、基本的に1/60秒=1フレームとして考えられる。
種類としては2種類ある。一つはディスプレイなどのハード側に原因がある場合だ。コレに関しては様々な検証サイトが立ち上がっており、PS4用のコントローラーよりもPS3のレガシーコントローラーの方が入力遅延が小さいというオカルトじみたトピックもある。
今回話題として取り扱うのは、ゲームメーカーがゲームにあらかじめ設定してある、デフォルトの入力遅延についてである。
『ストファイⅣ』の場合、PS3版とXbox 360版での2フレームの違いは、秒に換算すると約0.03秒。この差が入力からアクションまでの差を嫌うプレイヤーにとっては大きかった。
それが『ストファイⅤ』になると、他の格闘ゲームの入力遅延が5〜6フレームであるのに対し、『ストファイⅤ』は7〜8であり、最大3フレーム=0.05秒もの差が生じることになった。
これだけ、差が大きいとどうなるのか? 答えは「防御側が不利になる」である。なぜなら、相手の技に反応して防御コマンドを入力しても、7〜8フレームの入力遅延では間に合わないことが多くなるからだ。そうなるとプレイヤーはどうするかというと、攻撃に重きを置くようになるのだ。
つまり、入力遅延が少ないゲームでは、相手の攻撃をしっかり防御できることで、人間の最速反応速度11フレームを活かした防御からの攻め、またはプレイヤー同士の読み合いなどが重要な要素になってくる。そして入力遅延が大きい『ストファイⅤ』では、防御など問答無用の攻撃重視の試合展開になるのだ。
コンマ以下のわずかな秒の違いを大きな問題とするトッププレーヤーの凄さには舌を巻くばかりだが、それだけの凄さをもつ彼らだからこそ、プレイ動画や大会での熱戦で多くの人を惹きつけるのだろう。
(画像は公式サイトより)
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